やさしい声とことばで、心の土台を整える時間を。
「自己肯定感」という言葉を耳にする機会が増えました。SNSやビジネス書籍の中では、まるで魔法のように使われることもあります。
「自信がある人=自己肯定感が高い」
「自分が好き=自己肯定感がある」
しかし、こうしたイメージが一人歩きすることで、本来の意味が薄れてしまっているのが現状です。
本当の自己肯定感とは、表面的なポジティブさや、自分を特別に思い込むことではありません。
それは、もっと静かで、もっと深いもの。
「私はここにいていい」
「できても、できなくても、私は私でいい」
そうした“存在への許可”の感覚です。
自己肯定感が高い人は、自分に自信がある人――と誤解されがちですが、それは「自己評価が高い」だけかもしれません。
自己評価とは、自分をどう判断しているか。できた/できなかった、成功した/失敗したといった、いわば“状態の記録”のようなものです。
でも、それと自己肯定感は違います。
自己肯定感とは、評価がどうであっても、「それが今の私」と受け止められる力です。
「うまくいかなかった私」「まだできていない私」でも、それを否定せずに、ただ受け入れる。そこに、自分の価値を見出す力。それが自己肯定感の本質です。
つまり、
評価には高いも低いもない。評価は評価。肯定感は、評価とは別軸にある。
「そのままの自分でいい」という言葉に対して、
「じゃあ努力しなくていいってこと?」と捉えられることがあります。
けれど、それは大きな誤解です。
自己肯定感とは、「変わらなくていい」という意味ではありません。
「変わるために、自分を一度受け入れる」こと。
今の自分を責めたり否定したりしたままでは、
本当の意味で前に進む力は生まれません。
だからこそ、まずは“そのままの自分”を受け入れることが必要なのです。
それは甘やかしではなく、現実と向き合うための、
鏡をまっすぐ見るための「心の土台」を整えるプロセスなのです。
「鏡を見ない」のではなく、「鏡と向き合う準備をする」。
これが、自己肯定感を高めるということです。
私たちの心には、本来「自分を守るための仕組み」が備わっています。
それは、ときに現実を受け入れずに「否認」することで、心の傷から自分を守ろうとする働きです。
たとえば、幼少期に「もっとちゃんとしなさい」「そんなことじゃダメ」と言われ続けたとします。
そうすると、まだ自分という存在に確信のない年齢であっても、
「私はそのままでは価値がないのかもしれない」と感じ始めます。
その経験が何度も繰り返されると、やがてその感覚は無意識のレベルに刷り込まれていきます。
そして気づけば、
「できていない自分を否定する」「失敗した自分を隠したくなる」「喜びを素直に感じられない」
といった思考のクセが、日常の中に根を下ろしていくのです。
これは自分で選んだわけではありません。
育った環境、経験、そして心を守るための防衛本能によって、
「否認」が心の習慣となってしまったのです。
このような否認の習慣は、自分を責めることが当たり前になっている人にとっては、
もはや「息をするように」無意識に繰り返されているものです。
だからこそ、それを変えるには「意識の力」だけでは難しいのです。
無意識に根づいた「否認」の習慣は、単なる思考のクセではありません。
それは、長年の経験や環境の中で、心の深い部分に繰り返し染み込んだ“感覚の記憶”です。
だからこそ、「よし、今日から自分を肯定しよう!」と意識で決めても、
気づけばまた「私なんて…」と心の声がつぶやいてしまうのです。
では、どうすればこの習慣を変えることができるのでしょうか?
答えはとてもシンプルです。
無意識に刷り込まれたものは、無意識に働きかけることでしか書き換えることができません。
つまり、頭で考えるだけでなく、「感じること」「繰り返すこと」が必要なのです。
私たちが日常的に使っている「言葉」や「声」には、
思考を超えて無意識に届く力があります。
たとえば誰かにやさしく「大丈夫だよ」と言われたとき、
頭で理由を考えなくても、ふっと心が緩むような経験があるかもしれません。
それは、「言葉」が持つ音の力、意味の力、リズムの力が、
私たちの深い場所に働きかけてくれるからです。
だからこそ、このセラピーでは、声と言葉によってあなたの心の深部にやさしく働きかけ、
無意識の「自己否認」を、ゆっくりと「自己受容」へと書き換えていくのです。
このセラピーは、「意識して頑張る」ことを必要としません。
なぜなら、変えたいのは意識の表層ではなく、あなたの心の深くに染みついた無意識の習慣だからです。
無意識に根づいた「自己否認」や「自己否定」は、
日常の中で自動的に繰り返される思考パターンや感情のクセとなって現れます。
だからこそ、その奥深くにある「思い込み」を変えるには、
同じように、“繰り返し”“自然に”“無意識に”届けるアプローチが必要なのです。
この音声セラピーでは、
「あなたはここにいていい」
「何もできなくても、あなたには価値がある」
といった言葉を、やさしい声と言葉のリズムで繰り返し届けていきます。
これはいわば、「否認の習慣」を「自己受容の習慣」へと書き換える“再教育”のようなものです。
繰り返し聴くことで、あなたの心の深層に、
「ありのままの自分でいい」というメッセージが静かに根を張っていきます。
音声の力は、言葉を“感じさせる”力。
目を閉じて聴くだけで、意識より先に、心がその言葉を受け入れていくのです。
だからこそ、最初は信じられなくても構いません。
ただ、静かな時間の中でこのセラピーを繰り返してみてください。
少しずつ、確実に、あなたの中に変化が芽生え始めるはずです。